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記事2026年9月10日

AIにURLを貼る人へ|12社中9社が拒否。それでも要約は返る

日本の主要ニュース12社のrobots.txtを実測したら、9社が「あなたが貼ったURLを取りに行くAI」まで名指しで拒否していた。拒否されていないサイトでもInstagramの可読テキストは9文字。届いたか30秒で確かめる3手を実測つきで。

ニュースのURLをAIに貼って、「要約して」と打つ。数秒で要約が返ってきて、なるほどと納得して閉じる。

その記事、AIは1文字も読めていないかもしれません。

今日、日本の主要ニュースサイト12社の robots.txt を実際に取得して調べました。結果は9社が、AIによる取得を全面的に拒否。しかも拒否されているのは「学習用のクローラ」だけではありません。あなたがURLを貼った、まさにその瞬間に取りに行くフェッチャーまで、名指しでブロックされていました。

それでもAIは、たいてい何か答えを返してきます。ここがいちばん危ないところです。


① URLを貼ったあと、裏で起きている4つの分岐

まず前提の整理です。AIにURLを渡したとき、結果は大きく4つに分かれます。

        あなたがURLを貼る
              │
              ▼
    ┌─────────────────────┐
    │ AIがそのURLを取りに行く │
    └─────────────────────┘
              │
   ┌──────┬───┴───┬──────────┐
   ▼      ▼       ▼          ▼
 ①取れた  ②robots  ③取れたが  ④そもそも
        で拒否   中身が空    取りに行かない
   │      │       │          │
   ▼      ▼       ▼          ▼
 本物の  ページが  タイトルと  タイトルと
 本文で  届かない  枠だけ届く  URLの文字列
 答える     │       │       だけで答える
         └───────┴──────────┘
                  ▼
        ┃ ここで「取れませんでした」と
        ┃ 言わずに答えると、
        ┃ それっぽい作り話になる

①だけが本来の姿です。そして実測すると、②と③が想像よりずっと多いことが分かりました。順に見ていきます。

② ニュース12社を調べたら、9社が「あなたのリンク」を拒否していた

robots.txt は、サイトが「どのロボットに、どこまで見せるか」を書いておくファイルです。主要なAI各社は、これを尊重すると表明しています。

日本の主要ニュース12社について、https://各サイト/robots.txt を取得し、Disallow: /(=サイト全体を拒否)が指定されているユーザーエージェントを数えました。

サイト              全面拒否の数   うち「あなたが貼った時に動く」型
────────────────────────────────────────────────
読売新聞               66種              9種  ●
産経新聞               51種              7種  ●
日本経済新聞            43種              9種  ●
朝日新聞               35種              9種  ●
時事通信               32種              9種  ●
毎日新聞               31種              8種  ●
Yahoo!ニュース          30種              9種  ●
日刊工業新聞            24種              6種  ●
NHKニュース            13種              6種  ●
────────────────────────────────────────────────
東洋経済オンライン         0種              0種  ○
ITmedia                0種              0種  ○
ダイヤモンド・オンライン      0種              0種  ○

12社中9社。読売新聞にいたっては66種類のUAを全面拒否しています。

ここで大事なのが、右の列です。AIのボットには、性格の違う2種類があります。

  • 学習用クローラGPTBot ClaudeBot CCBot など)— モデルの学習データを集めて回るもの。あなたの操作とは無関係に動きます。
  • ユーザー起動型フェッチャーChatGPT-User Claude-User Perplexity-User など)— あなたがURLを貼った、その瞬間だけ動くもの。学習には使われません。

「学習に使われるのは嫌だ」という理由なら、前者だけを拒否すれば筋が通ります。ところが実測では、9社すべてが後者もブロックしていました。Yahoo!ニュースの robots.txt を開くと、30行のUAがずらりと並んだ末尾に Disallow: / が1行だけ置かれていて、その中に ChatGPT-UserClaude-UserPerplexity-User も入っています。

つまり、あなたが自分の意思で「この記事を読んで」と頼んでも、その記事は届かない。これが今日いちばんの発見でした。

逆に、東洋経済オンライン・ITmedia・ダイヤモンド・オンラインは全面拒否ゼロでした。「AIに読ませたい記事」を選ぶなら、この差は実務的に効いてきます。

③ 拒否されていなくても、中身は届かない

では、拒否していないサイトなら安心かというと、そうでもありません。第二の落とし穴は**「ページは取れたが、読めるテキストがほとんど無い」**というパターンです。

各ページを実際に取得して、「転送されたデータ量」と「タグを剥がしたあとに残る可読テキストの文字数」を測りました。

                    転送量      可読テキスト    比率
──────────────────────────────────────────────
Instagram の投稿      632KB          9字      0.001%
YouTube の動画ページ   1.3MB        182字      0.014%
X(旧Twitter)の投稿   174KB        740字      0.42%
Googleスプレッドシート   249KB      2,100字      0.82%
note の記事           333KB      6,354字      1.86%
GitHub のリポジトリ     376KB     11,224字      2.91%
Wikipedia の記事      917KB     78,288字      8.34%

Instagramの投稿ページは、632KBを転送して、読めるテキストが9文字でした。 その9文字が何だったかというと——

Instagram

これだけです。キャプションも、コメントも、投稿者名も、1文字もありません。

YouTubeも同様でした。1.3MBを転送して残った182文字の中身は、動画タイトルと、ページ下部のフッターリンクです。

Rick Astley - Never Gonna Give You Up (Official Video) (4K Remaster) - YouTube
概要 プレスルーム 著作権 お問い合わせ クリエイター向け 広告掲載 開発者向け
利用規約 プライバシー ポリシーとセキュリティ YouTube の仕組み 新機能を試してみる
2026 Google LLC

概要欄も、コメントも、字幕も、1文字も入っていません。 つまり「このYouTubeの動画を要約して」と頼んだとき、AIが手にしているのはタイトル1行と、フッターのメニューだけということが起こり得ます。

なぜこうなるかというと、これらのサイトは中身をJavaScriptで後から描画しているからです。ブラウザで見れば表示されますが、素朴に取得しただけのHTMLは「空の器」なのです。

なお、この実測はJavaScriptを実行しない素の取得での数字です。AI側がブラウザを動かして取得する製品もあるため、常にこの数字になるわけではありません。ただ「貼れば中身が届く」が前提にできないことは、これで十分わかります。

④ 本当の問題は、「読めなかった」と言ってくれないこと

ここまでは「届かないことがある」という話でした。それだけなら、エラーが出て終わりです。

問題は、中身が届かなくても、たいてい何かは返ってくることです。

AIの手元には、届かなかった場合でも材料が残っています。URLの文字列そのもの(/articles/2026/09/boj-rate-hike のようなパスには単語が入っています)、ページタイトル、そして学習済みの一般知識。これらを足すと、「日銀の利上げに関する記事のようですね」くらいの、それらしい文章はいくらでも書けてしまいます

読み手からは、①(本文を読んで書いた要約)と④(URLの文字列から推測した要約)が、見た目でほとんど区別できません。どちらも自然な日本語で、それらしい見出しがついています。

つまずくのは決まってこの一点です。「要約が返ってきた=読めた」と受け取ってしまう。 実際には、返ってきたことは読めた証拠になりません。

⑤ 30秒でできる3手

対策はシンプルです。順番に効きます。

手1:引用させる(コピペで使えます)

要約を頼むとき、要約の前に「本文の冒頭をそのまま引用させる」ようにします。推測では引用文は作れないので、届いたかどうかが一発で分かります。

このURLの本文から、冒頭50字をそのまま引用してください。
そのうえで要約してください。

本文を取得できなかった場合は、要約せずに
「取得できませんでした」とだけ答えてください。
推測やタイトルからの補完はしないでください。

URL:

引用が返ってこない、または引用がタイトルの繰り返しだったら、それは②〜④です。要約は捨ててください。

手2:本文を自分で渡す

いちばん確実で、いちばん速い方法です。記事をブラウザで開いて、⌘A(全選択)→ ⌘C(コピー)→ AIに貼る。それだけ。robots.txtも、JavaScriptも、ログイン壁も、全部関係なくなります。

余計なメニューまで入るのが気になるなら、Safariなら「リーダー表示」(⌘⇧R)、Chromeなら「読み取りモード」を先に押してからコピーすると本文だけになります。

手3:PDFにして添付する

有料記事やログインが必要なページ、スプレッドシートなど、コピーがうまくいかないものはブラウザの印刷(⌘P)から「PDFとして保存」して、そのファイルを添付します。YouTubeなら、概要欄や字幕のテキストを開いてコピーします。

【従来】URLを貼る → 届いたか分からない → それっぽい要約を信じる
【改善】URLを貼る → 引用させて確認 → 届いてなければ本文を貼る
                         ▲
                    ここが30秒

⑥ 自分のよく読むサイトを、今すぐ確かめる

3分でできます。ブラウザのアドレス欄に、サイトのトップページのURL+ /robots.txt と打って開いてください。

https://news.yahoo.co.jp/robots.txt

開いたら ⌘F で以下の3語を順に検索します。

ChatGPT-User
Claude-User
Perplexity-User

見つかった場合、その少し下に Disallow: / があるかを見ます。あれば、そのサイトの記事は、あなたが貼っても取りに行けません。手2(本文をコピペ)に切り替えてください。

まとめ:今日やること、今週やること

今日:よく使うAIに、いつも貼るニュースサイトのURLを1本貼って、手1の「冒頭50字を引用してから要約して」を試す。引用が返ってくるか見るだけで、自分の環境の実態が分かります。

今週:自分がよく読むサイト3つの robots.txt を確認して、「貼れば読めるサイト」と「本文をコピペすべきサイト」に仕分ける。一度やれば、あとは迷いません。

要約が返ってきたことは、読めた証拠にはなりません。確認は、引用1行で足ります。


同じように、AIの要約をそのまま信じて人に転送してしまったこと、ありませんか。役に立ったら♡やブックマークをどうぞ。

この記事は note にも掲載しています(初出: note版 2026-09-10)。