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プロダクト2026年7月31日

みみうつし

書いた文章を「耳の側」に写して、声だけで受け取ったときに何が落ちるかを見つけるツール。同音衝突・音にならない記号・耳が持たない一息・見返せない指示語・埋もれる否定を採点し、読み上げ台本を組み立て、最後は音声合成+書き取りの一致率で耳での通りやすさを実測する。

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文章を声で届けるとき、書いた本人は自分の原稿を目で読んでいます。でも受け取る側は、漢字も括弧も改行も見えないまま、音の列だけを一度きり、しかも前に戻れない状態で受け取ります。この落差はふつう、実際に読み上げてもらって誰かが「わからなかった」と言うまで表に出てきません。みみうつしは、その落差を書いている段階で見えるようにする道具です。書いた文章を「耳の側」に写して、声だけで受け取ったときに何が落ちるかを採点し、最後は自分の耳で書き取って一致率を実測します。

こんなときに使う

  • 駅・館内・校内アナウンスや、電話で読み上げる案内文をつくるとき
  • 動画やポッドキャストのナレーション原稿を書いたとき
  • スピーチ・司会進行・プレゼンの読み原稿を、耳で通るか確かめたいとき
  • 書いた文章を音声読み上げで聞く人にも届くようにしたいとき

使い方

  1. 上の入力欄に、声で届ける文章を貼ります(600字まで)。サンプルのボタンからも試せます。
  2. 「耳とおり度」と、本文の色つき表示で、どこで耳がつまずくかを見ます。
  3. 「文ごとの一息の長さ」で、耳が最後まで持たない文を探します。
  4. 「読み上げ台本」を見ます。自動で置き換えた語と、手で直すしかない語が分かれて出ます。
  5. 「書き取りテスト」で、読み上げを聞きながら書き取ります。本文は自動でぼかされます。
  6. 「原文で試す」と「台本で試す」の両方をやると、一致率が並んで出て、言い換えが効いたかどうかが分かります。

仕様と機能

耳リスクは6種類を静的解析で見つけます。辞書もルールもすべてブラウザの中にあり、外部APIも形態素解析も使いません。

種類見つけ方減点の上限
同音の化け約50組の同音語辞書との表層一致30
埋もれる否定55モーラを超える文の文末否定と、二重否定6パターン18
見返せない指示語上記・下記・前述・当該・本件など15語(最大14か所)15
音にならない記号括弧書き、記号17種、2文字以上のラテン文字、4桁以上の数字20
切れ目のないかなひらがなが13文字以上続く箇所15
長すぎる一息文ごとの推定モーラ数(70超で黄、110超で赤)28

モーラ数は文字種から見積もります。小書きのかなは0、かな・カタカナ・長音は1、漢字は1.8、数字は2、ラテン文字は2.4として合計し、読み上げ時間は毎秒7モーラで換算しています。100点から上の表の減点を引いたものが耳とおり度です。

読み上げ台本では、耳で区別できる言い方が一つに決まっている語だけを置き換えます。「私立→わたくしりつ」「化学→ばけがく」のような放送の現場で使われている言い換えです。置き換え先が文脈でしか決まらない語(たとえば「期間」は機関・器官・気管・基幹と同じ音です)は勝手に触らず、「手で直す語」として書き手に返します。括弧書きは読点ではさんだ挿入句にし、「〜」は「から」、「→」は「、そのあと」に開きます。

書き取りテストの採点は、文字レベルの最長共通部分列です。空白と句読点だけを落としたうえで、原文の何文字が書き取りに現れなかったかを数え、その割合を出します。かなと漢字はあえて区別したまま比べます。

作るときに決めたこと

いちばん迷ったのは、同音語を全部自動で言い換えるかどうかでした。「対象」を機械的に「ねらう相手」に置き換えれば同音衝突は消えますが、文脈によっては明らかに不自然になります。耳で通ることと文として成立することは別なので、言い換え先が一つに決まる語だけを自動にして、残りは書き手に判断を返す形にしました。台本が完成品ではなく下書きなのは、そのためです。

書き取りテストで、かなと漢字を区別したまま比べているのにも理由があります。「私立」と聞いて「市立」と書いたなら、それは聞き取れているようで意味は取り違えているということです。読みが合っていれば正解にしてしまうと、このツールがいちばん見せたい失敗がスコアから消えてしまいます。だから一致率は下がるほうを選びました。

一息の長さを文字数ではなくモーラ数にしたのは、漢字で書けば短く見える文が、声にすると長くなるからです。「環境保護」は4文字ですが8拍かかります。目で見た長さで判断すると、耳での負荷を毎回見誤ります。

注意点

  • 同音衝突は辞書との表層一致で見つけているので、辞書に無い語や、漢字を使わずに書かれた同音語は拾えません。逆に、たまたま同じ字面を含む別の語を拾ってしまうこともあります。
  • モーラ数と読み上げ時間は文字種からの見積もりで、実際の発音とは差が出ます。
  • 音声合成はブラウザの機能を使います。声の種類や読み方はブラウザと端末によって変わり、日本語の音声が入っていない環境では読み上げできません。その場合は台本を別の読み上げアプリに貼っても同じテストができます。
  • 解析も辞書も音声合成もすべてブラウザの中で動くので、入力した文章はどこにも送信されません。書きかけの文章だけ、次に開いたときのためにその端末に保存します。