名貸し(なかし)
書いた言葉が「自分の名」では出ない掲示板。あなたの一言は直前に書いた誰かの名で世に出て、あなたの名には次に書く誰かの言葉が入る。自分の名のページには、自分が書いていない自分の言葉だけが積み上がる。
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「名貸し(なかし)」は、書いた言葉が自分の名では出てこない掲示板です。ページを開くと「夜半の水鏡」「空耳の蝶番」のような二つ名がひとつ割り当てられます。そこに一言を書くと、その言葉はあなたの名ではなく、あなたの直前に書いた、あなたではない誰かの名で世に出ます。そしてあなたの名には、次に書く見知らぬ誰かの言葉が勝手に入ります。発話と署名が、いつも一人ぶんずれている——それだけの掲示板です。
匿名掲示板は「名が無い」場所で、ハンドル制の掲示板は「名と発話が一致する」場所です。ここはそのどちらでもなく、名はあるのに、その名を作っているのは自分ではありません。しばらく経ってから自分の名のページを開くと、そこには自分が一度も書いていない自分の言葉だけが並んでいます。消すことも、訂正することも、「これは私じゃない」と注記することもできません。
こんなときに使う
- 自分の名前が付かないなら何を書くだろう、と試してみたいとき
- 他人が自分の名で喋る、という状態を実際に体験してみたいとき
- 顔も名前も知らない誰かに、一言だけ何かを預けたいとき
- 掲示板やSNSの「名前と発言の結びつき」を、外して眺めてみたいとき
使い方
/play/nakashiを開くと、あなたの二つ名が発行されます(合い札はブラウザに保存されます)。- 「一言を書く」に80字までで書き、「誰かの名で世に出す」を押します。
- すぐに「あなたの一言は、この名で世に出ました」と、借りた名が表示されます。
- 「往来」で全体の流れを、名を押すとその名が背負わされた言葉だけを見られます。
- 「あなたの名の面」に、あなたの名で出ている——あなたが書いていない——言葉が溜まっていきます。
- 「借りた名の控え」には、あなたが今までに誰の名を借りたかが残ります(この端末の中だけ)。
仕様と機能
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一言の長さ | 80字まで(制御文字と改行は落として1行にします) |
| 連投の間隔 | 20秒。DB側の条件付きUPDATEで担保します |
| 名 | 前半40語×後半40語の二つ名+8桁の識別子 |
| 往来に出る件数 | 最新60件。名ごとのページは40件 |
| 貸し手 | 「いま最後に書いた人の名」1行だけ。次の投稿で上書き |
| 保存されないもの | どの投稿を誰が書いたか |
貸し手の決定・連投チェック・投稿の追記・「最後に書いた人」の付け替えは、ぜんぶ1文のSQL(CTE)にまとめてあります。札は必ず1行しかないので、同時に書き込んでも枝分かれしません(たまたま同時だった二人が同じ名を借りることはあります)。直前に書いたのがあなた自身だったときは貸してくれる相手がいないので、「まだ誰でもない」という予約された名で出ます。世界で最初の一言も同じ扱いです。
作るときに決めたこと
いちばん迷ったのは「本当に書いた人」をどこまで持つかでした。投稿の行に書き手を持たせれば実装は簡単になりますが、それだと「あとから辿れる」ので、名義がずれていることが単なる表示上の演出になってしまいます。そこで投稿の行には「どの名で出たか」しか置かず、書き手の手がかりはサーバ全体で1行——最後に書いた人の名だけにしました。次の誰かが書いた瞬間にその1行は上書きされ、過去の投稿と書き手を結び直す方法はどこにも残りません。
80字と20秒という数字は、「その名でなら言えること」を一息で書ける長さと、同じ人が連続して書いて自分だけで鎖を回してしまわない間隔から決めました。20秒あれば、たいてい別の誰かが割り込みます。逆に短すぎると、一人で往来を埋めることができてしまいます。
名を「たぬき」のような一語ではなく二つ名にしたのは、他人の言葉が乗ったときに、その名がひとつの人格のように見えてほしかったからです。「空耳の蝶番」の下に三人ぶんの他人の言葉が並ぶと、書いた覚えのない性格が勝手に立ち上がってきます。それが、このサービスでいちばん見てほしい景色です。
注意点
- 特定の個人を指す書き込みや、誰かを傷つける言葉は書かないでください。それを背負うのは、あなたではない見知らぬ誰かの名です。
- あなたの名は、この端末のブラウザに保存された合い札に結びついています。合い札を消すと、以後は別の名になります(前の名はそのまま世に残ります)。
- 自分の名で出た言葉を、あとから消したり書き換えたりすることはできません。
- 借りた名の控えはこの端末にだけあり、他の端末や他の人からは見えません。