間の稽古場(まのけいこば)
台詞は変えられない。変えられるのは沈黙の長さだけ。各行の前に置く「間」を0.1秒刻みで決めて再生し、狙った感情を伏せたまま高座に上げると、通りすがりの人が投票して通じ率が出る稽古場。
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台詞は変えられません。変えられるのは沈黙の長さだけです。「間の稽古場」には「帰り道」「電話」「返しもの」「進捗」という4本の短い会話が置いてあり、そのどれもが台詞を一字も書き換えられないようになっています。あなたにできるのは、各行の前に置く「間」を何秒にするかを決めることだけ。それだけで、同じ「ううん、なんでもない」が、前に0.2秒しか置かなければ即答の照れになり、1.8秒置けば言いよどんだ嘘になります。頭で分かっている話を、スライダーを動かして再生し、実際に自分の体で確かめるための台です。
さらにこの稽古場では、あなたが置いた間が他人に通じたかどうかを実測できます。狙った感情を伏せたまま高座に上げると、通りすがりの人がその間を最後まで再生してから「なにに見えたか」を6択で投票します。狙いどおりに見えた票の割合が「通じ率」です。
こんなときに使う
- 同じ台詞が間の置き方だけでどれだけ変わるかを、読み物ではなく手を動かして体感したいとき
- 芝居や朗読、動画のナレーションで「ここ、もう少し溜めたほうがいいのか」を試したいとき
- 自分が感じている「気まずい沈黙」の長さが、他人にも同じ長さに感じられるのか知りたいとき
- 文章の推敲に飽きて、言葉の外側にある伝達手段をいじってみたいとき
使い方
- 台本を4本から1つ選びます。どれも6〜7行の、どうとでも読める会話です。
- 各行の前にあるスライダーで「間」を決めます。0.0秒から3.0秒まで、0.1秒刻みです。迷ったら「棒読み」「ふつう」「たっぷり」のプリセットから始めて、要所だけ手で直すのが早いです。
- 「稽古する」で再生します。沈黙のあいだはバーが伸び、台詞は1文字ずつ出ます。画面の下に全体の尺と、そのうち沈黙が占める秒数が出ます。
- 納得したら、狙った感情(照れ・怒り・うそ・あきらめ・気まずさ・やさしさ)を1つ選び、名前を入れて「高座にあげる」を押します。
- 「よその高座を聞く」から他の人の間を再生します。最後まで聞き終わると6択が出るので、見えたものに投票してください。投票した瞬間に、その人の狙いと票の分布、通じ率が開きます。
仕様と機能
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 台本 | 4本(帰り道7行/電話6行/返しもの7行/進捗6行) |
| 間の範囲 | 0〜3000ミリ秒、100ミリ秒刻み |
| 間の初期値 | 400ミリ秒 |
| 台詞の読み上げ | 1文字90ミリ秒の等速+余韻200ミリ秒 |
| 感情の札 | 6種 |
| 一覧に出る高座 | 台本ごとに最新60席 |
| 投稿の上限 | 1人1日20席 |
| 票 | 1席につき1回きり、自分の高座には入れられない |
読み上げの速さを1文字90ミリ秒に固定しているのが、この道具の一番大事な部分です。誰が上げた高座でも台詞は同じ速さで流れるので、席ごとに違うのは間の置き方だけになります。つまり「役者がうまいから伝わった」という説明が原理的に成立せず、通じ率はそのまま「間だけで伝わったか」の数字になります。
投票の順序も固定されています。狙いは票が入った瞬間に初めて開くようになっていて、答えを先に見てから入れ直す経路がありません。二票目はデータベース側で (高座, 投票者) を主キーにしているので必ず弾かれます。一覧では、まだ聞いていない高座を先に、そのなかでも票の少ないものを先に並べています。
作るときに決めたこと
上限を3.0秒にしたのは、それを超えると人は「間」ではなく「中断」だと受け取るからです。実際に4秒、5秒と試してみると、どの台本でも会話が壊れてしまって、感情の違いではなく単に事故に見えます。逆に下限を0にしたのは、間をまったく置かない食い気味の返しそのものが、照れや怒りの強い表現になるからです。刻みを0.1秒にしたのは、0.05秒刻みでは違いが分からず、0.2秒刻みでは「ちょうどいい溜め」を通り越してしまう場面があったためです。
感情を6つに絞ったのは、選択肢が多いほど票が散って通じ率が意味をなさなくなるからです。照れ・怒り・うそ・あきらめ・気まずさ・やさしさは、どれも4本の台本すべてに当てはめられるように選んであります。逆に「悲しみ」のような、間よりも台詞の内容で決まってしまうものは外しました。
台詞を7行以下にしたのは、間を7つ以上調整させると作業になってしまい、一つひとつの沈黙に意味を込めなくなるからです。6〜7行なら、全体を通しで何度も再生しながら細かく直せます。台本の内容はどれも意図的に空っぽで、「うん」「そっか」「いや」のような、それ自体では何も言っていない台詞ばかりを並べました。中身のある台詞を混ぜると、間ではなく言葉のほうが感情を運んでしまうからです。
注意点
- 間の下書きは台本ごとにこの端末の中だけに保存されます。別の端末では引き継げません。
- 高座に上げたあとで間を直すことはできません。直したいときは新しい席として上げ直してください。
- 自分の高座には票を入れられないので、通じ率は誰かが聞きに来るまで出ません。上げてすぐは「まだ票がありません」と表示されます。
- 投稿は1日20席までで、短い時間に何度も送ると一時的に受け付けなくなります。