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プロダクト2026年8月5日

ためらい荘

書きあがった文章ではなく「書かれ方」を掲示する掲示板。掲示できるのは消した文字が残した文字と同じだけある一言だけで、読む側は書き手の打鍵・沈黙・消えた言葉ごと等速で再生することでしか読めない。

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「ためらい荘」は、書きあがった文章ではなく**「書かれ方」そのもの**を掲示する掲示板です。ふつうの掲示板は、あなたが送信ボタンを押した瞬間の完成形だけを世に出します。書いては消し、手が止まり、言い直した過程は、送信と同時にきれいに捨てられてしまう。ためらい荘はその捨てられていた部分のほうを保存して掲示します。入居の条件はひとつだけ、消した文字が、残した文字と同じだけあること。すらすら書けてしまった一言は門前払いになります。ここでは消すことが失敗ではなく、掲示するための家賃です。そして読む側は完成文をいきなり読めません。カードを開くと再生がはじまり、書き手が打った速さ・書きかけては消えていった言葉・手が止まっていた間ごと、等速で追いかけることでしか読めない仕組みになっています。

こんなときに使う

  • 誰かが一言を書くまでに何を書いて何をやめたのか、その迷いのほうを見てみたいとき
  • 自分が思っているより長く手が止まっていることを、記録として突きつけられてみたいとき
  • 「送信された文」ではなく「送信されなかった文」に興味があるとき
  • 短い文章を、読むのではなく時間をかけて受け取ってみたいとき

使い方

  1. 帳場(ちょうば)のテキスト欄に、思いついた一言を書きます。打った字も、消した字も、迷っていた間も、この時点からすべて記録されています。
  2. 書いては消し、また書き直します。欄の下に「残っている/消した/打った/経った時間」が出るので、いま家賃がいくら足りていないかが分かります。
  3. 「あと◯字ぶん消せば掲示できます」の表示が「家賃は足りています」に変われば、掲示ボタンが押せるようになります。
  4. 掲示すると、掲示板の一番上にあなたの札が並びます。ただし本文は伏せられ、見えるのは「かかった時間/消した・残した字数/最長の沈黙/ためらい度」だけです。
  5. 他の人の札の「▶ 書かれ方を再生して読む」を押すと再生がはじまります。最後まで見ると、はじめてその人の一言が読めます。

仕様と機能

項目内容
掲示の条件消した文字数 ≧ 残った文字数
本文の長さ1〜120字(改行なしの一言)
記録できる手数1件あたり最大1000手
沈黙とみなす無操作3秒超
再生時の沈黙の長さ1.2秒に縮め、本当の秒数を添えて表示
書きはじめから掲示までの上限30分
連続で掲示できる間隔30秒に1回
掲示板に並ぶ件数最新40件

打鍵の記録は、1手を [経過ミリ秒, 共通する先頭の文字数, 置き換える文字列] の3要素で持っています。直前の文字列との共通接頭辞ぶんを残して後ろを差し替える形なので、文の途中を書き換えた場合でも正確に復元でき、120字ぶんの推敲を素直に保存できます。消した字数と打った字数は、変化の前後で共通する先頭と末尾を除いた差から数えるので、末尾を削ったのか途中を差し替えたのかに関係なく同じ基準で測れます。

判定はすべてサーバ側で行います。画面が「これだけ消しました」と申告してきた数値は一切使わず、受け取った打鍵の記録を頭から再生し直して、本文・打った字数・消した字数・沈黙の回数を数え直したうえで家賃を判定しています。途中で120字を超える手や、時刻が巻き戻る手、直前の文字列より長い共通接頭辞を主張する手が混じっていれば、その時点で壊れた記録として弾かれます。掲示と連投チェックは1文のSQLにまとめてあるので、同時に送っても30秒の間隔をすり抜けられません。

作るときに決めたこと

家賃を「消した字数 ≧ 残った字数」の1対1にしたのは、この比率がいちばん説明のいらない線だからです。0.5倍では「ちょっと書き直した」で通ってしまい、2倍にすると10字書くのに20字消す必要があって作業になってしまう。1対1は、いちど全部書いてから書き直せばちょうど届く量で、実際に迷った人なら自然と払える額に落ち着きました。もちろん意味もなく打って消せば形だけ満たせますが、その空打ちも記録として再生されるので、読む人にはすぐ伝わります。抜け道が抜け道のまま作品になるのは、この場所としては悪くないと考えました。

沈黙を3秒で切って、再生では1.2秒に縮めているのは、正直さと読みやすさの折り合いです。等速をどこまでも守ると、30秒手が止まった記録は読む側にも30秒の停止を強います。かといって沈黙を単に飛ばすと、この掲示板が唯一伝えたい「止まっていた」という事実が消えてしまう。そこで長さは縮めつつ「……33.8秒の沈黙」と本当の秒数を必ず添える形にしました。縮めるのは沈黙だけで、打っている最中の速さには一切手を入れていません。早送りボタンを付けなかったのも同じ理由です。

保存するものはできるだけ減らしました。残るのは打鍵の記録と、そこから確定した本文だけで、名前も、誰が書いたかも持ちません。ブラウザに置いている札は連投の間隔を測るためだけのもので、掲示された内容とは結びつきません。一覧で本文を返さないのも同じ考え方で、読む権利は再生を通った人にだけ渡るようにしています。

注意点

  • 掲示した内容はあとから消せません。書いている途中で消した言葉も、再生でそのまま他の人に見えます。書きかけの本名や連絡先などを一度でも打ち込まないでください。
  • 再生は等速で、早送りはできません。長く迷った記録は読むのにも時間がかかります。
  • 記録が1000手に達すると、その回はいちど流して書き直す必要があります。
  • 貼り付けなど一度に大量の文字を入れる操作は、記録としては1手ぶんの差し替えとして扱われます。
  • 認証がないため、掲示は1人30秒に1回までに制限しています。